ちょっとしたアイデアが救世主 (朝礼ネタ637)

今や世界に冠たる模型メーカーの田宮模型は、模型メーカーとしての発足時には木製模型を製造販売していました。
その後、新素材であるプラスチック製のモデルが外国から入って来て、
市場ニーズは木からプラスチックへと流れ、田宮の木製模型は売り上げを落とします。

プラスチック材料の製造加工の技術のない田宮は、四苦八苦しながら戦艦のプラモデルを始めて発売しました。
しかし他社製品に敗れて金型費回収さえできない大赤字という結果に終わりました。

窮地に陥った田宮を救ったのは、間に合わせともいえるちょっとしたアイデアでした。
高価な新たな金型を作れない田宮は、樹脂問屋の紹介でプラスチック製の安価なオモチャで使った古い金型を借ります。
その金型で製造したパーツを組み立てずにそのままキットとして、
「ベビーレーシング」「ベビートラック」の商品名で販売したのです。

金型費不要でもともとが安いオモチャのパーツですから、子供がお小遣いで買える新素材プラスチック模型ということでヒットし、
結果田宮は危機を脱することができました。
それは、オモチャを組み立てずに単なるその部品を模型として販売し、
箱のデザインもアメリカ雑誌の古本から勝手に借用したイラストを使うという、
社長自身が後に汗顔の至りと述懐するような安易な製品でした。

しかし子供の頃にこのキットのファンだったというさる模型雑誌編集者のエッセイには、
「透明の窓、シート、フロントグリルなどが別にちゃんと揃っており、
 アメリカンポップアート風のボックスデザインもアカ抜けていて、さすが田宮だと思った」
と記されていました。

メーカーとユーザーの対照的な感じ方のこの差は興味深く、正に何が幸いするか分からない事例です。
運と言えば運なのですが、私は商売の面白さや奥深さを感じてしまいます。

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