良いアイデアとは? (朝礼ネタ513)

名機零戦の設計者・堀越二郎は、良いアイデアとはその時代を抜きん出たアイデアだと言っています。
つまりそれはその時代の専門知識や傾向を越えた、新しい着想でなくてはならず、
同時にそれを人より早く実施しなければならないと言うのです。

そのためには時代に即応するのではなく、時代より先の知識を磨くべきで、
でなければ現段階の一流品をいくら目指しても、
それに近付きこそすれ追い抜くことはできないとしています。

零戦開発の中で堀越はそのことを学び、
また実践することで前代未聞の高性能を誇る零戦を作り上げました。

その一つの例が、速度と操縦応答性の問題でした。
従来の速度を遥かに凌ぐ高速性能を備えた零戦は、今まで未経験の空気抵抗に晒されました。
空気抵抗の影響は、操縦士の操作感と機体の動きにズレを生じさせました。
操縦桿を同程度操作しても、高速度時の機体の動きが大きくなり過ぎるのです。
これは操縦士にとってかなりのストレスとなりました。

その解決のために堀越が着目したのは、
操縦系部品の剛性を高めて操縦桿と昇降舵との動きのズレを極力少なくしていることでした。
これは操縦安定性の観点からそれまで世界的な常識事項でした。

彼はこの高剛性を緩和することによって、
操縦桿操作時の昇降舵の角度が風圧によって適切に変化することで、
機体の動きが必要以上に大きくならないように工夫したのです。

このアイデアについて
「ヨーロッパの水準から見ても最も驚嘆に値する工学上の構想・手法である」と、
英国最大の航空機会社の設計主任が、戦後に英国航空航空学会誌で述べています。

まさに堀越の持論通り、
当時の航空機先進国の知識を越えたアイデアを、世界で最初に実用化したものだったのです。

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