食卓という舞台、食事という銀幕 (朝礼ネタ1348)

ナポレオンの時代の伝説的な外交官タレーランの言葉は面白いです。例えば、
「食卓とは、最初から最後まで退屈しない唯一の場だ」
ナポレオンが失脚した直後のウイーン会議では、本国フランスにこんな指示を出しました。
「百人の外交官よりも、腕利きの料理人を数人よこせ」

実際、この会議は敗戦国のはずのフランスが、見事な駆け引きを演じ優位にことを進め成功を収めたのです。美食外交の代表例と言われます。天才外交官タレーランと天才料理人カレームの最強タッグのなせる技でしょう。

料理は五感の他に、演劇的側面も持っています。

ある時タレーランのもとに2匹の特大のサーモンが持ち込まれました。普通に出すのは面白みに欠けると思ったタレーランは、一つの演出を加えました。

饗宴が始まり、メインの魚料理として最高級の特大のサーモンが巨大な銀の皿に盛られて登場した次の瞬間、あまりの重さに給仕が皿ごと床に落としてしまいました。落胆する客たち。しかしすぐに同じ料理が運ばれて来たので客たちは驚き大喝采です。

タレーランは自分の富と権力を効果的に印象付けるために、実に効果的に料理を使いました。その応用が外交でも生かされたのです。

食卓は時として戦場と化します。しかし多くの場合心を癒す場であってほしいと思います。

味覚や嗅覚は、人間の本質的な記憶に最も近い感覚だと言われます。プルーストの「失われた時を求めて」の冒頭は、幼い日に食べたミルクティにひたしたマドレーヌの味と香りの記憶からスタートします。

誰かの記憶となり、誰かの記憶を引き出す、そんな食べ物を提供したいと思います。

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