その花の名を私は知らなかった (朝礼ネタ1271)

今日ここに来るまでに、綺麗な花が咲いていました。ですが私はその名を知りませんでした。

あなたならどうします?今時では画像にして検索すれば良い?ええ、便利な世の中になったものです。ですが花の名を尋ねたことで運命が変わった人々の小説があるんです。

それは源氏物語です。
夕顔と通称される女性の物語です。たまたま下町を訪れた光源氏は白い花に目を止めます。初めて見る花にふと
「うちわたす おちかた人に もの申す」
と呟きます。それを聞いた側近は、
「そのそこに 白く咲けるは 何の花ぞも」
という旋頭歌の下の句から、源氏が花の名を尋ねたと察し夕顔という花の名を教えるのです。

その側近が花をひと枝もらいに行くと、主人の女性は花をこれに載せると良いでしょうと白い扇を贈るのですがその扇には和歌が書かれていました。これをきっかけに二人は恋をしますが、ある夜に夕顔は急死します。
死後にわかったことは、彼女が実は源氏の親友の妻の一人であったこと、正妻からの嫌がらせのために身を隠していたこと、幼い娘がいたことなどです。

源氏の青春時代を象徴する物語の一つですが、これには続きがあります。

残された忘れ形見は、数奇な運命を辿ります。突然母が失踪し困窮した屋敷の人々は幼い姫を連れ九州の太宰府に下り、数年を過ごしますがトラブルに会い、また都を目指しました。不思議な縁で忘れ形見の少女は源氏の娘として引き取られます。

かつての恋人の娘の美しさに心が浮き立つ源氏はまた、あの歌を口ずさむのです。
「おちかた人に もの申す」と。
しかし周囲は過去のことを知るものがなく、
「あの白い花は、梅でございます」
と答えるのです。時の流れを感じ、葛藤する光源氏の心情が現れるシーンです。

ただの花の名前であったとしても、対話は人と人をつなぎ縁をもたらします。きっかけがなければ前進は困難になりやすい。トークの駒は一つでも多く用意しておきましょう。

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